ダムが一つもない一級河川、日本一の清流「高津川」の流域に暮らす、牧場を経営している斎藤学(甲本雅裕)。妻を亡くし、母絹江(奈良岡朋子)、娘の七海(大野いと)、息子の竜也(石川雷蔵)の4人暮らし。
七海は大阪から帰って来たばかりで、高校生の弟・竜也の考えていることは分からない。地元の誇りである「神楽」の舞いは歌舞伎の源流ともいわれ、代々舞手が受け継がれて来たが学は、今年舞手の舞台を踏む竜也が稽古をさぼってばかりいること、進路のことを危惧する日々だった。
地方の問題の「都会への若者の流出による人口減」や「祭りや技術の伝承の存続」は危機的状況にあり、高津川流域で暮らす人々も同じ問題を抱えていた。そんな時、母校である小学校が閉校になるという知らせや、高津川上流にリゾート開発の話が持ち上がり、学の同級生で母親の介護をしながら老舗の和菓子屋を継いだ陽子(戸田菜穂)、寿司屋を継いだ健一(岡田浩暉)、高津川の清流で農業・養蜂をしている秀夫(緒形幹太)、東京で弁護士をしている誠(田口浩正)、市役所勤めの智子(春木みさよ)、主婦の久美子(藤巻るも)らが集まって何をすべきか相談することに。
母校の閉校を受け、最後の運動会に「日本各地にいる卒業生を集めよう」という話になる。
高津川の恩恵や重要性は認識しつつも何が出来るか答えは出ないまま…
唯一リゾート開発を否定しなかった誠は、学に連れられ誠の父、正(高橋長英)の元へ目を逸らしてきた現実と今失おうとしている大切なものを目の当たりにすることとなる。
守るべきは何だったのか。
失おうとしているものは何なのか。
今それぞれの想いを乗せた最後の運動会が開催される。
それぞれが見つけ出した答えとは…
メッセージが、静かに心に迫ってくる。
「高津川」というタイトルから伝わってくるのは、
かつて昭和の時代によく作られた日本映画のような、ほのぼのとしたイメージなのかもしれない。
しかし、現代においては、映画「高津川」は随分“尖がっている映画”である。
人々が明日の幸せを夢みて働き、経済発展を遂げた昭和の時代には日本中どこにでもあった自然豊かな風景がスクリーンいっぱいに広がる。
そして高津川の流域で暮らす人たちの営みが淡々と描かれる。
まるでファンタジーの世界のようだ。
「日本という国は、ハイテク産業に支えられた経済大国としての顔だけではなく、
全国津々浦々の自然や有形無形の慣習や文化が豊かに残っていることを忘れてはいけない。
令和を迎えた日本。
都会への若者流出による人口減や高齢化によって、農業、林業、漁業、祭りやモノづくりなどの存続、継承に赤信号が灯る。
錦織監督の作品は、今まで、地方を舞台にしながら“日本”を描いてきた。
映画「高津川」で描かれた物語は、令和の時代を迎えた日本の国のどこにでもある物語。
「このままにしておいてはいけない」
静かな時間が流れている映画だが、日本の真の豊かさを問う強烈なメッセージがシンプルに心に迫ってくる。
甲本雅裕
戸田菜穂
大野いと
田口浩正
高橋長英
奈良岡朋子
緒形幹太
春木みさよ
藤巻るも
佐野和真
友利恵
石川雷蔵
岡田浩暉
浜田晃
原作・脚本・監督:錦織良成
音楽:瀬川英史 プロデューサー:安川唯史
撮影:佐光朗 JSC 照明:加瀬弘行
録音:武進 美術装飾:吉川康美
編集:日下部元孝 効果:丹雄二
選曲:佐藤啓 衣装:岡田敦之
ヘア&メイク:酒井啓介 特機:佐藤雄大
助監督:宮村敏正 イラスト:坂井治
錦織監督は塾長を務めるしまね映画塾の開催や、上映会などで10年以上前から頻繁に石見地方に訪れていた。益田市・津和野町・吉賀町の皆さんから、映画製作への熱い要請を受け、ここで撮るなら是非高津川を映画にしたいと答えていた監督。皆の思いが一つになり映画実現への夢は加速していった。
地元のボランティアの皆さんやエキストラの皆さんの絶大な協力がスクリーンから伝わってくる。スタッフ、キャストは差し入れられた高津川のアユの美味さに舌鼓をうち、満面の笑顔だった。
甲本雅裕を主人公に撮りたい、とかねてから話していた錦織監督。主人公の学は、甲本を頭に思い浮かべ“あてがき”をしたという。
日本遺産、石見神楽の撮影シーンは、この映画の見どころの一つだ。高津川下流の益田市内で行われた大蛇(オロチ)の撮影は益田市の神和会の有志によって舞われた。
オーディションで、全国から集まった人の数、何と1000人以上!県内はもとより、中国地方、関東や関西からも多くの人たちが集まり、雨の中、益田商工会議所の外に長蛇の列ができた。
学たちの母校「高津川小学校」の撮影は津和野町内の閉校になった小学校で行われた。本物さながらの運動会は地域の皆さん総出のご協力によってノスタルジック溢れる素晴らしいシーンとなった。
ヒロイン陽子に戸田菜穂、誠に田口浩正、正に高橋長英、絹江に奈良岡朋子・・・と、ベテラン俳優たちが集結。若手も有望株が揃い、監督、安川プロデューサー大満足のキャスティングとなった。
物語の中で子供たちが高津川に飛び込むシーンは、10月に撮影された。当日の気温は高かったが、細心の注意を払って撮影された。さすが子供は風の子、10月の川ではしゃぐ姿は夏そのもの!?
映画館で癒されたい方必見!
映画「高津川」は現代においては尖がっている映画です。
感動したという皆さんにお願いがあります。
多くの観客にこのメッセージを伝えたい、という強い思いがあっても
静かにしていますと映画館での上映は終わってしまうのです。
大爆音、CG満載の映画とは一線を画す映画、「高津川」の上映が一日でも長く
続きますよう、皆様のお力をお貸しくださいませんか。
どうか、良かった、と思われた方は公式ツイッターに書き込んでいただきますよう、
友人知人に映画館に行って欲しいとお伝えいただきますようお願いします。
直ぐ上映が終わってしまわないよう、お声かけください。
最近作られなくなってしまったメッセージの映画「高津川」を広めることに
ご協力をお願い致します。
ご理解の程どうぞ宜しくお願い申し上げます。
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