映画作品紹介
白い船を
観たユーザーからのメッセージ
観たユーザーからのメッセージ
― メッセージ4
白い船の存在への子供たちの好奇心、そして冒険心と、それをとりまく大人たちの潔いまでの対応が清清しい。
子供が成長する上でなにか問題が起きたとき、責任論や危機管理論で子供を安全な柵に押さえ込むのではなく
成長していく子供の意思を尊重し起こりうる問題やリスクも一緒に抱えるという本当の意味で責任ある大人たちの行動にはっとさせられた。
主役の中村麻美は初めて?観たがまた観たいと思った。
夏という季節に、町ごと飲み込まんばかりに茂った緑、青い空、白い雲、日本海。
のびのびと生きる子供、見守る大人。
もしこの映画が最後まで何の抑揚もなく終わったとしても、それらだけで幸せでした。
― メッセージ5
社会を超える存在(自然)と常に対話しながら暮らす日常の積み重ねによって維持、強化されていく我々意識の強固さに感動した。
・子供はもちろんこの町の大人は論理の世界だけでは生きていないし、生きられないことを自覚しているのかもしれない。故に大人も子供も一緒になって白い船という社会を超えた凄いものに敏感に反応出来る。こうした共感の輪が見ていて実に清々しい。
・論理で生きてしまう静香先生が徐々に共感の輪の中に入っていくのが印象的。
ある港町の小学校。
新任教師・麻美の授業中、生徒の一人・岳は遠く窓の向こうを眺めていた。
青々と果てしなく広がる海に、まだ彼にしか見えない何かを見ていた。
君は何を見ているんだろう。
いつだって先生より早く君たちは何かを見つけ、そしてここから巣立つ準備をしている。
岳が見ていたのは、きっと果てしなくもあての無い未来だった。
彼の未来が、一艘の白い船をこの沖へ導いたのかも知れない。
青い海に、白い船。
その日以来、子供たちは授業もそっち抜けで海を眺めることに必死になる。
子供たちのはしゃぐ姿に惹かれて、大人たちはもっとあの白い船を近づけてやれないかと必死になる。
未来へと続く白い波頭。
本当ならこんな田舎には停泊せず、どこか遠いところへ去っていってしまうだろうレールを、
少しでも子供たちに近づけたくて。
授業ほっぽらかしでも叱らない。
村のみんなで子供たちを白い船に乗せるための話し合いが行われると、
東京暮らしからここでのスローライフに乗り換えたある船頭は面食らう。
「こういう時は誰かが反対して口論になったりするもんじゃないんでしょうかね」
ないのだ。
みんなが大賛成。
みんな、子供たちが夢中になって見つめているあの白い船に想いを馳せている。
あの子たちが笑って夢を見れるなら、それ以上に大切なことはないじゃないか。
もっとドラマチックに見せることは出来るはずだが、ひたすら静かに時は経過し、子供たちと大人たちと白い船の距離は近づいていく。
ほとんど何も語らない岳の、陽に焼けた精悍な顔立ちにすべてを語らせる。
テーマが何かも明らかにならない中、やっと、先生が喋る。
「ただ船から手を振るだけなのに、どうして涙が出るんだろう」
美しく、時代の流れの中で消え行くようで、どっこい生きている山と町。
夢を信じる子供たち、子供たちのために尽くそうとする大人たち。
事実なのだから事さら感動的に仕上げる必要は無いと判断したのだろう、脚本の欲の無さと、地味ながら確かな俳優たちにまず拍手。
『学校の怪談4』でコウちゃん(笑福亭松之助)の少年時代を演じた福田亮太とまた出会えたのも嬉しかった。
しかし本題はここからだ。
どうなっているんだろう、きっと低予算だろうし、もしくはDVDに焼きなおす際に何か手を加えたのだろうか・・・
ともかく!
映像が美しいのだ。
ハッと息を呑む日本の夏の美しさで全編が漲っている。
すべてのシーンがこの上なくなめらかに、気持ち良く、山や海の大らかささえ感じさせて観客を包み込んでくれる。
ここのところスクリーンで観てきた『天コケ』や『遠くの』より、ちっぽけなDVDプレイヤーで見るこの小品の自然がはるかに圧倒的に存在しているのはなんだろう。
山下敦弘ばかり取り上げてこの錦織良成という監督の「に」の字も伝えてこなかった日本の雑誌もライターも全部自己顕示欲の強いただの能無しだ。
たとえば神楽の撮り方の照れの無さ(山下は照れが良くもあるんだけど)一つ取っても『天コケ』よりずっとタイプだったりして。
ビアホールすら奥行きと臨場感を持って「美しい夏」に自然と取り込めるカメラ。
完全に呆気に取られながら、空の青さ、海の青さ、人々の焼けた肌と、小さく白い船を見つめていたら、これが夏だと想いましたよ。
何気なく手に取った『スポンジボブ』と『白い船』
見事に大当たりだったなぁ。
最後最後まで映像の美しさに心奪われていた。
― メッセージ6
島根県の日本海を望む小さな小学校と沖合を進むフェリーとの交流を描いた作品です。
(実話が基になっているそうです)
全校生徒17人と教職員6人の小さな小学校。
(5年生・6年生統合)クラスの生徒の1人が窓の外から見える水平線にフェリーを見つけます。
担任の静香先生の発案でフェリーの船長との手紙の交流が始まって・・・。
「いつか船に乗ってみたい」。
1人の子供の夢が周り大人達を動かし、子供とクラスの生徒達の夢が叶う物語。
夢を追いかける子供達、それを叶えようと努力する校長先生、教職員をはじめとする周りの大人達。
話自体はとても平凡でシンプル。先も簡単に読めます。そして、盛り上がるシーンなんてありません。
けど「何故か涙がでてきてしまう」作品。
何でそんなに感動したんだろうって不思議に感じた作品。
多分「人の優しさ」に触れたからかな。
お金をかけなくても、このようなとても良い作品ができるということを改めて強く感じました。
スタッフ、出演者の良い作品にしようとする意気込みが強く感じられる作品です。
クライマックスの「白い船」をたくさんの漁船(約50隻)が出迎え、たくさんの人々がお互いに手を振り合うシーンが
一番感動です。
そして、「白い船」に乗った静香先生が手を振りながら言うセリフ。
「ただ、船から手をふっているだけなのに、どうして涙がでるんだろう・・・」
この一言でこの作品の良さがわかってもらえると思います。
バックに流れる角松敏生さんの曲もとても良いです。
一見の価値はありますよ。
イメージワードは「心が温かくなる」、「気持ちがやさしくなる」です。
余談として。
この作品の完成試写会終了後、(出演されていた)大滝秀治さんは「いい仕事をさせてもらいました」
と錦織監督に頭を下げたそうです。